「週刊誌の鬼」

「▼週刊朝日の名編集長だった扇谷正造は「一怒一老一笑一少」の言を好んだ。一度怒れば一つ老い、一度笑えば一つ若返る。還暦を過ぎて大声で怒る自身への戒めだったそうだ。」―今朝の「天声人語」の最後にそうある。
 
 直接指導を受けた者として、2回読み返した。扇谷正造氏の思い出はこのブログの42日付で書いた。付け加えると、1913 - 1992 宮城県に生まれる。地方記者、海外特派員を経て昭和二十二年(1947)週刊朝日」編集長に就任。数々の編集手法を駆使し、部数を爆発的に伸ばし名編集長と謳われる。学芸部長、論説委員を歴任。週刊誌ジャーナリズムに新境地を広げたと昭和二十八年(1953)菊池寛賞を受賞した。当時「週刊誌の鬼」とも呼ばれたという。
 
 朝日退社後、フリーになり、小生が入社した会社の顧問もしていた。若者たちに多くの助言を与えてくれた。ことごとく具体的な例をあげて、噛み砕いた説明をしてくれるのが特徴だった。「一怒一老一笑一少」の言は直接聞かなかったが、若者にも講演を聞きに来た主婦にも同じように真摯に向き合っていた。小生も怒鳴られもしたし、笑いながら昔話もしてくれた。新米たちに「人生は泣き笑いだ」と教えてくれていたが、当時はまだその意味があまり飲み込めなかった。
 
 教えられたことで今でも実行しているのは、電車や地下鉄の中吊り広告を見ながら、タイトル付けの頭の体操をやること。例えば週刊文春の見出し、「正体見たり!小沢新党の『化けの皮』」と「自分や親がボケたかなと思ったら簡単にすぐわかる『認知症チェックシート』」の一部分を入れ替えて、新見出しをつくる訓練を繰り返す。「小沢新党メンバーの『認知症チェックシート』」、「自分や親がボケて、正体見たり親戚の『化けの皮』」という具合だ・・・?!