故郷・古平のお祭りの音

昨日明け方、珍しく弟の夢を見た。北海道古平町の実家にいる。何かあったか・・・と、携帯電話をかけたがなかなかつながらない。小生が取れないときに返電がある。5回目に来た電話でようやく話ができた。「アニ、いい音楽聞こえるか?笛と太鼓だよ」と言って笑っている。微かに聞こえていたが、しだいに太鼓の音と笛の音がはっきりしてきた。「あっ、お祭りか?!」と問うたら、「そうだよ、聞こえるだろう」と返事がきた。そうか琴平神社のお祭りで、小さな町が久しぶりに盛り上がっているのだ。
 
祭りの時期に古平に帰郷する都会人も多いという。子どもの頃、神輿担ぎや山車引きで声を枯らして町中を練り歩いたものだ。いま4000人弱まで減った街のひと時の『賑わい』だ。かつて露天が通りを埋め尽くすように並び、小遣いを握り締めてあちこちはしゃぎ回った。最終日の「天狗の火くぐり」(古平町 お祭り)は祭りのクライマックスであり、燃え上がる炎を駆け抜ける天狗さんと大神輿に歓声を上げたものだ。去年、町役場に勤めていた友人が、お祭りと古平の風景を撮ったDVDを送ってくれた。このお祭りの音と、正調越後踊りの盆踊りの響きは幼い頃から体に染み付いている。
 
父親は江差追分で有名な江差町の出身だ。漁師だったので沖から帰ると、子どもたち4人の頭をいつもなでた。寝るときには江差の昔話や姥神大神宮(姥神大神宮~長い歴史に培われ)のお祭の模様を話して聞かせた。とくに「姥神さまの祭りは江戸にもない」とその豪勢振りを自慢していた。たしかに北海道最古のお祭りともいわれ、学生時代に母と叔母と3人で行った時に見学したが、父の自慢が本当だったことが分かった。特別に山車にも乗せてもらった。かつてのニシンで栄華を誇った町も、すでに衰退の時期に入っていた。古平とて然り。せめて祭りだけは華やかにー、住む人々のためにそう願う。