マリン・コラーゲンの可能性

昨日の「水産ジャーナリストの会7月研究会」は「マリン・コラーゲンの開発と今後の展開」と題するものだった。講師は井原慶児・井原水産社長で赤坂の大日本水産会会議室で開かれ、20数名の参加者があった。牛や豚のコラーゲンに比べて海洋性コラーゲンがいかに安全・安心であるかが説明された。
 
参加者がとくに関心を示したのは、今後の先端医療分野への活用である。たとえば、コラーゲンからつくった人工血管は人体との親和性が高いため、将来的に期待されている。すでにウサギでの実験段階で優れた成果を挙げている。しかし、現状ではわが国の認可が遅いという問題がある。この克服が課題になっている。人工硬膜についても同様である。さらには、ガン治療への活用などでも期待されている。
 
終了後の懇親会で日本人の魚離れが話題になった。現在行われているシーフードショーは大いに盛り上がっていると、ニュースで報道されている。しかし、わが国の魚消費量は依然伸びていないのが実情である。魚と生活との接点、いわば生活シーンになかなか魚が登場してこないのだ。魚よりも肉類の値段が総じて安いということもある。日本人の食文化である米と魚が、パンと肉に変わっていった。
 
水産ジャーナリストのU氏は、戦後米国によって戦略的に日本人は食生活を変えられてきてしまったと指摘する。米をパンに、魚を肉に、味噌汁を牛乳にという具合だ。とくに昭和46年、マクドナルドが銀座・三越一階に第一号店を出店したことが、大きな転機になっているとも付け加えた。若い頃に美味しく食べたものは一生その人の好物になっていくからだ。そのときの少年たちがいま社会の第一線を構成している。