アーミテージ氏の問題提起

  本日の読売一面「地球を読む」は先のジョセフ・ナイ氏に続いて、予想通り、リチャード・アーミテージ元米国務副長官が登場して「米『アジア重視』」との見解を述べている。オバマ大統領が、米国がアジアへと「軸」を移す方針を示し、軍事資源の配分に関する「再均衡」を口にしている。これが「大構想」となり、いずれ後世に記憶されることになるかもしれない。そう述べている。
 
アーミテージ氏の見解(要約):
「念を押したいのは、米国の『再均衡』の努力が『タダ乗り』への招待状ではないことである。米国が効果的に『軸』を移すためには、友邦や同盟諸国の協力が不可欠なのである。米国にとって最悪のシナリオの一つは、米国が地域の安全を保障する傍ら、経済上の競争相手が貿易自由化を熱心に求め、漁夫の利を得ることである」
 
 「この『軸』の移動は、米議会と有権者へのメッセージでもある。予算削減を求める財政タカ派と戦いながら、アジアにおける権益を守るには、アジアで存在感を示して一目置かれるようになることが急務だ。では、この政策は、友邦や同盟諸国、とくに日本にとって、どんな意味を持つのか。米国は、自らを『本気で賭ける』から、同盟諸国にも同様の覚悟を望むと告げているのだ。日本政府にとって、それが意味するものは多々ある」
 
 「米国と肩を並べて立ち続けるには、米国が前進する時には、日本も立ち止まってはいられない。日本は米国の経済的パートナー、地域経済のリーダーであり続けるために、貿易自由化に真剣に取り組まなければならない。真のエネルギー安全保障戦略を追求し、日米が互いの強みを生かせるようにするべきだ。また、地球という公共財の平和と安定の確保にそれなりの役割を果たすため、断固たる軍備の近代化を進めなければならない」
 
 以上のとおり、アーミテージ氏は鋭く同盟国・日本に覚悟を迫っている。「日本が今後ともアジアの『礎石』であり、最も重要な同盟国であり続けることは、私の願いである。だが、それは、日本の指導者と国民が米国と構想を分かち合う決意をして初めて、可能になる」と厳しく課題を投げかけている。