GE会長発言「シェールガスと原発」

   昨日の朝日2面に「シェールオイル、米国を変える―進む増産、20年後には『脱中東』・IEA見通し」と大きく報じていた。世界最大の石油消費国である米国の石油輸入(2011年=840万バレル、うち中東依存は184万バレル)は2035年までに半減すると、IEA(国際エネルギー機関)の主席エコノミストが朝日記者に答えている。支えは国産のシェールオイルだ。現在の日量90万バレルが2020年には200万バレルを超え、中東からの輸入分を上回る規模になるとの見通しだ。
 
 先週会ったジャーナリストが、GEのジェフ・イメルト会長&CEOの「原発撤退発言」について触れていた。イメルト会長は7月30日付のファイナンシャル・タイムズ(FT)のインタビューで、シェールガスの増産で米国のガス価格が大きく低下していることや、風力発電コストの低下があり、「ガスと、風力か太陽エネルギーの組み合わせに多くの国が向かっていく」との見方を示していた。さらに原発について「(経済的に)正当化するのが難しい」と発言したと報じられていた。
 
 調べてみると、これには続報があった。イメルト氏は今月6日、社内向けブログで「FT報道は『原発は厳しい』と発言した部分だけが一人歩きしている」と主張していた。「我々は引き続き原子力を含む幅広いエネルギー・ソリューションを顧客に提供していく、と述べた部分が掲載されなかった」と語っている。同氏は「明らかに我々の意図とは違う」と強い不満を表し、原子力部門に対して「私の支援があることを知ってほしい」と強調した。
 
 その朝日1面に「原発割合、民主が調査会」の記事があった。野田政権がまとめる新しいエネルギー政策に反映させる。この「エネルギー・環境調査会」の事務局長には仙石由人政調会長代行を当て、一方で「脱原発」を提言した菅直人前首相を顧問に据える。今国会会期末の9月8日までに野田内閣に提言する。
 
また、昨日読売1面には「経団連原発比率目標で緊急調査」が掲載されている。主要33団体に緊急調査した結果、「ゼロシナリオになった場合、雇用が減る」との答は96%を占めた。「国際競争力が低下する」90%に達したと、電気料金の値上げによる産業の空洞化などの懸念を浮き彫りにしている。「20~25%シナリオでも7割が減る」と回答している。