元祖札幌や帝劇ビル店

   バンコク在住の知人が、米国出身の友人から「日本のラーメンはうまくないね」と言われた。どこで食べたのか聞くと、現地風の味付けで知られるチェーン店。愛国心を刺激され、日本から進出した評判のラーメン店で豚骨ラーメンを振る舞うと、米国人は「すばらしい」。知人は胸をなで下ろした▲タイは今、日本食ブームの真っただ中にある。日本食レストランは1600店を超え、ここ5年で2倍以上に増えた。特徴的なのは豚カツやカレー、鍋料理など専門店化が進んだことだ。ラーメン店だけで150店以上あり、味やメニューの多様さでも成熟しつつある。(毎日「余録」から)
 
   都内でも日本食の専門店化がますます進んでいる。池袋のメトロポリタンプラザがルミネに変わって、以前の半分ほど飲食店が入れ替わった。若者向けの洒落たお店が増えて若い人の来客数が増加しているが、中高年の女性客も多くなっている。我々ぐらいの年代の夫婦も目立つ。「いまや60代は老人ではない。年齢を重ねた若者なのだ。そう捉えればマーケティングが成功する」と、先日会ったジャーナリストは指摘していた。彼は団塊の世代をチェックしている。池袋ルミネレストランの口コミランクは―①つばめグリル②グッドモーニングカフェ③台湾小籠包、とある。とんかつ・いなば和幸や玉寿司も上位に来ている。 ラーメン専門店はなくなった。
 
   ラーメンはいまや自分の味を探し出す時代なのだ。いろいろな店に行って食べてみて、好みに合えば何回か行く。その後も行くかどうかは不明!?こんなラーメンの激戦時代である。一つは多様化で、様々なバリエーションが各店の特徴として打ち出されている。激辛、濃味、トッピングの新しさなど限りなくラーメンの世界は広がっている。それと同時に値段が高くなっている。すでに1,000円近いものも珍しくない。「たかがラーメン、されどラーメン」の意味が根底から変わってしまった。小生の通う店は日比谷の「元祖札幌や帝劇ビル店」だ。いつも基本の「味噌ラーメン」を頼む。500円だ。30年以上行っているが、いつもどおり普通に旨い。