三浦展著「第四の消費」の未来とは―

 三浦展(あつし)著「第四の消費」(朝日新書)を昨日から読み始めた。「消費では人は幸せになれない。では、何によってか?」がテーマになっている。いま第四の消費社会は、我々にそのことを問いかけているという。三浦氏は消費社会研究の第一人者といわれる。1958年生まれ。パルコ入社後にマーケティング誌「アクロス」編集長を経て、カルチャースタディーズ研究所を設立。新しい社会デザインを提案している。
 
 都市に住む少数の中産階級が消費を楽しんだ第一の時代。高度成長の波に乗り、家族中心の消費が進んだ第二の時代。消費が個人化に向かった第三の時代。そして、いま消費は第四の時代に入った。三浦氏はまず、そのように指摘している。そして、こう続けている。「人間にとって最大の消費対象は人生そのものである。究極の消費とは人生の成就である。無駄に終わらせるか、疲れ果てるか、充実させて満足するか。それが最大の課題だ」。
 
 振り返って考えてみれば、この第一から第三までのプロセスは団塊の世代の親およびわれわれ自身がたどった道筋でもあった。とくにパルコは「第三の時代」の牽引役を果たしたといえるだろう。明らかに「発信するシンボル」であった。三浦氏はその時代を「物を買えば幸せになれる」時代であったと振り返っている。有名なコピーライターやデザイナーが神格化された時代でもあった。明らかに広告メディアが席巻した社会であったと思う。
 
 彼は断言する。「その終りは、1990年代末期から現れ始めた」。そして、物ではない何によって「幸せ」になれるかを問う時代が始まった。それが「第四の時代」なのだ。第四章「消費社会のゆくえ」で、「想像しうる未来は・・・進歩があろうがなかろうが、現在を充実して生きることのできる文明の到来が期待される」と、山崎正和氏(「世界文明史の試み」2011年)の言葉を引用している。三浦流に言えば「つながりを生み出す社会」への踏み出しである。