「遠州灘天然とらふぐ」

   「とらふぐなら浜松だよ!」。昨日久しぶりに会ったM氏はそう教えてくれた。彼はスポーツ紙記者で、レジャー関係を長く担当してきた。30年来の友人で、全国を取材で飛び回っている。昨夜の魚談義のなかで小生の気持ちを一挙にひきつけた。「今度、一緒に食べに行きますか」、「行く、行く」と反射的に返事をした。浜松が天然とらふぐの産地だとは、まったく知らなかった。ふぐと言えば、下関としか思いつかなかったのだ。
 
 とらふぐはふぐの中でも最高級にランクされる。M氏いわく「ふぐ=下関と連想されているが、実はその下関の天然とらふぐの多くが遠州灘で獲れたものだ」そうだ。海流の変化で漁獲量が増え、いまや遠州灘は天然とらふぐの国内屈指の漁場となっている。その多くが地元・舞阪漁港に水揚げされているという。
 
 ご承知の通り、ふぐの内臓には猛毒があり、専門の資格を持った調理師しかさばくことはできない。下関には有資格の調理師がいる専門加工業者が数多くあって、全国に配送していたという。M氏の話では「舞阪港で水揚げされた『天然とらふぐ』の約8割が下関に、残りの2割ほどが名古屋、東京に流通していた」という。
 
 しかしせっかく遠州灘で水揚げされる天然とらふぐを「地元特産品として育てようという気運が、かんざんじ温泉を中心に高まり、約10年前に念願の『ふぐ加工処理工場』を設立。『遠州灘天然とらふぐ』のブランド名で浜名湖ブランドとして地元で気軽に味わえるようになった」(M氏)という。地元で加工するため、天然物のイキの良さは保証付き、流通経路のカットにより地元での提供価格が安くなるなどいいことだらけ―だとのこと。
 
   「天然とらふぐ」漁は舞阪港で今月から解禁になっていて、かんざんじ温泉で「遠州灘天然とらふぐ祭り」が始まっているそうだ!浜松に行ってお昼はうなぎを食べて、夜は天然とらふぐを食べたい―ものだ。そんな話で盛り上がった。