ありえない!偶然の再会

  人生の中で偶然に何回か出会う人がいる。それがどうしてかは説明がつかない。だれにでもそんな経験が一度や二度はあると思う。そして不思議なのは、それがその後の人生に何らかの形で関わってくることも多いからだ。
 
 朝日be版の連載コラム「路地裏人生論」で筆者・早川克美氏がそのことを取り上げていて、読ませる。数年前に三遊亭円丈師匠と数日の間に三回も会う偶然を経験したという。また、アメリカで一緒に仕事をした男性との奇遇な再会についても書いている。山手線で座っていて前に立った男と目が合ったら、その人だった。「出会うことのありえない、再会だった」と述べている。
 
 坂戸市に移ってきてまもなく、向こうから歩いてくる男性に一瞬「Hか?!」と呼びかけた。同時に「ヒサスエか?!」と声が飛んできた。やっぱりH君だった。北海道余市高校の同級生で卒業以来、何十年も経って埼玉の小さな町の路上で再会した。彼はもともと大人っぽい顔だったので、なにも変わっていなかった。「何でここにいるんだ?」、「お前こそ?」。お互いの自宅が200メートルも離れていなかった。まず彼の家に誘われ、この驚くべき再会を祝して乾杯した。暫し飲んだあと我が家に移動して続きの酒盛りをした。彼の家の前を通るたびにあの時のことを思う。
 
札幌にいる高校同級生のK君もその一人だ。学生時代、彼の父上が亡くなって友人とともにお悔やみに行き、その夕方、偶然に札幌市内で何人かの女子グループと知り合いになった。その内の一人と数日後に路上でばったり会った。そのとき、小生は勝負事で大負けして一文無しだった。お昼のスパゲッティをご馳走になった。その二年後、彼女は小生の妻になった。
 
20年前に小生の母が危篤との連絡が入り、早朝に家族と羽田を出発した。新千歳について通路を急いでいたら「カズオ!!」と声がかかった。羽田に向かう通路にK君が「どうしたんだ?」と言いながら立っていた。ごく手短に説明して別れた。彼が手配して友人たちから一斉に連絡が入ってきた。母は亡くなった。呆然としていた自分をK君はじめ同級生たちが慰めてくれた。K君とは親を通してつながっている。