サムスンvsソニー、シャープ

   韓国のサムスン電子に関する報道が相次いでいる。昨夜のNHKスペシャルで「メイドインジャパン逆襲のシナリオ①」が放映され、今朝の朝日・経済面で「順風サムスン、足元逆風」と大きく報じている。不振の日本メーカーを尻目に史上最高の営業利益を記録したサムスンを軸に、今後の家電メーカーの行方を占うものだ。
 
 「NHKスペシャル」ではソニーとシャープの失敗を分析する形で番組を構成しつつ、サムスンの強さの根源を明らかにしていく内容であった。要は過剰な技術力依存体質だったソニーやシャープがふたたび市場ニーズにマッチした技術力の応用で、世界に君臨する夢を実現していく展望である。今夜、続編が放映される。
 
 番組ではインドでの液晶テレビ売場の場面を象徴的に示していた。安さが売り物のサムソン商品に対して、ソニー商品はインド人が好む青と赤を鮮明化した画面にこだわる売り方をする場面を強調した。いわゆる地元密着のマーケティングソニーやシャープなど日本メーカーが再度、韓国勢に勝っていく方向を示していた。
 
 これらの場面を見ながら、半分は真実を伝えていないように感じた。サムスンのグローバルマーケティングは放送したものよりももっと進化していることが予測できるからだ。新興国が価格の安さだけで韓国商品を買っているのではなく、韓国メーカーの戦略が日本人の想像以上に地域密着マーケティングを行っているからだと思う。だから売れているのだ。
 
 朝日は「『富を独占』市民反発~財閥解体、大統領選の争点」と題して、韓国社会の格差拡大が与・野党大統領候補の財閥批判につながっていると指摘している。サムスングループの売り上げは国内総生産(GDP)の約22%に達するととされ、輸出も約2割に及ぶことを挙げている。そうした富の配分問題で同社が問われているとの識者の見解を紹介している。