イカ釣りの漁火に想う

   朝日be版「うたの旅人」の2面に漁火の写真がある。函館市イカ漁の風景で、夜空を照らすいくつもの漁火が写っている。このイカ漁の光は子どもの頃から積丹半島沖でも毎年見ていた。イカ釣り漁船の傍に行けばすぐ分かるが、この発光装置が漁不漁のひとつの決め手になるのだ。夏から秋にかけて日本海イカ漁は夜の水平線に輝く風物詩だ。
 
 とくに函館はイカの街だといわれている。「北海道のイカ漁は1859(安政6)年の函館開港を機に盛んになったという。観光客に人気の『函館朝市』には、イカなどの新鮮な海産物はもちろん、野菜や花など多彩な品を扱う約300店が集まる。このうち駅二市場にはイカを釣って、その場で食べられる活イカ釣り堀がある」(朝日記事から)。
 
 30代の頃、出張で全国を回っていたが、函館にも何回か訪れた。美食家で遊び通の部長のお供をしていた当時だ。バブル経済前章の時代で、豪勢な旅を経験した。函館空港から湯の川温泉に直行して一風呂浴び、タクシーで函館山に登って夜景を眼下にした。あのくびれのある街の夜景は感動的ですらある。下山して寿司屋に入り、イカを食べた。
 
 中学生の時、理科の実験で父が朝早く獲ってきたイカを学校に持っていった。先生からの要請で、父は喜んでたくさんのイカを持たせてくれた。顕微鏡で見るとイカの血は青い。へモシアニンが含まれているためだ。実験が終わると先生は職員室にそのイカをもって帰った。お昼休みに職員室を覗くと、先生方がイカの刺身を囲んで弁当を食べていた。