中国新指導部と小沢一郎氏

   きのう小沢一郎氏は完全に沈没したと書いた。その見方を一部変えなければならない。中国で習近平総書記率いる新指導部が15日、発足した。習氏は来春の全人代国家主席を胡氏から委譲されるほか、李克強副首相が温家宝氏に代わって首相に就任する見通しだ。習氏、李氏と太いパイプを持つのが、小沢氏だからだ。
 
 習総書記は記者会見で次のように発言している。「5000年余の文化発展の過程で、中華民族は人類の文明進歩に不滅の貢献をした。・・・我々は引き続き奮戦し、中華民族を世界の民族の中で力強く自立させ、人類のために新たな貢献をする責任がある」。こうした発言などから、中国の覇権主義はさらに強められていくことが予測される。
 
 習氏が掲げる「中華民族復興」が意味するものを正確に把握して、早期に対応策を打つことが肝要になる。これが民族主義高揚とイコールであり、排外主義の色彩を強めていく可能性が強い。米中関係はかろうじてバランスが取れたものになるとしても、日中関係では日本に強い圧力をかけ続ける状況が生まれてくる。
 
 今後、こうした状態を回避して日中関係を少しでも是正していくためには、政治・経済両面からの実質的な接触が不可欠だ。とくに現在、日中政府の対立は険しいものがある。中国の「日本無視」の膨張政策は、わが国に国難を投げかけている。そこで今はほとんど沈没状態の小沢一郎氏に活路が開けてくるチャンスが出る。
 
小沢氏は習近平氏が2009年に来日した際、慣例を破って直前に設定された天皇陛下との会見を実現させた。また、自らが代表になって異例の訪中大使節団を派遣した。李克強氏は「小沢一郎国民の生活が第一』代表の岩手県水沢市(現・奥州市)の私邸に招かれたこともある」(読売11/16)関係だ。小沢氏は中国新体制とのパイプ構築に先駆けるはずだ。