サルにも「中年の憂鬱」

    「中年の憂鬱」は人間だけではなく、チンパンジーやオランウータンにもみられる。朝日・科学面にそんな記事がある。両者(両猿?!)ともに30歳ぐらいがもっとも幸福度が低かったという。類人猿の30歳は、人間だと45歳ぐらいに相当するそうだ。「憂鬱な気分」とは、「ぼーっとしている」「元気に遊ぼうとしない」状態だ。世界数カ国の行動観察で分かった。これは思考停止の状態だ。
 
 朝日記事は続けて、「人間の調査でも同様の傾向になることが知られている。中年は将来への不安や焦りから、憂鬱になったり、不安解消のために衝動買いをしたりする人が増えるとされる」と書いている。最初にサルの例を引いて、人間の話にもっていくのもなんだかおかしな気もするが、まあ当たらずとも遠からずだ。45歳ぐらいといえば、社会人になり始めた頃から日本は低迷してきた世代だ。でも、自分でしっかり考えて!!自分が思うように、言ったように人は生きていくのだから。
 
 何かの本で「最近、良い心がけや良い行いをしようとする姿勢がバカにされる時代になってしまった」と指摘していた。なんでもありの、取った者勝ちという世相に満ちている。品行方正だけの社会も怖いものがあるが、憂鬱や不安だけの刹那主義社会も危険なことはいうまでもない。とくに今の時代は負のエネルギーが内向きに蝕んでいる。弾けないからむしろ恐ろしいのだ。