川越「龜屋」のお菓子

   「亀の最中」、「亀どら」といえば、川越銘菓「亀屋」の代表的な商品だ。これらのお菓子のアンコがまた上品だ。甘すぎず、甘くて美味しい―。年末になると弟妹や親戚からいろいろな北海道の産物が送られてくる。そのお返しの基本は川越・亀屋のお菓子と決めている。天明三年(1783年)の創業だ。当時は十代将軍家治の時代で、治世は田沼意次が主導していた。武蔵野国(関東圏)最大の藩であり、家康の頃から川越は特別に重要視されてきた。華やかな江戸文化が川伝いに江戸からつながり、小江戸と呼ばれるようになった。
 
 積丹の義弟は酒も好きだが、この亀屋のお菓子も大好きだという。普通の最中より小さめの「亀の最中」、亀形のドラ焼「亀どら」はいつ食べても美味しい。小生も大好物だ。以前は家人が川越に行って購入していたが、現在ではネットで注文できるので便利になった。これら商品に季節の品を加えた贈答セットは包装もなかなか渋くて気に入っている。「着いたよ~!!」と妹から電話が入る。妹が魚、野菜などをもらう漁師さんや親戚におすそ分けできるように、小さなセットをいくつかまとめて送っている。
 
 いま川越は少し静かな時期になっているが、年末年始には喜多院氷川神社などへの初詣客で街中が賑やかになる。亀屋本店は川越の古い街並みの中にあり、その蔵のような店にはいつも客がいる。明治26年春の川越大火で焼けたが、夏には現在の店舗が建てられた。「旧川越藩御用達」とある。「亀屋」の正式の漢字は「龜屋」である。贈り物としては相応しい名前だ。古くからの川越人に言わせれば、「イモ菓子、芋煎餅とサツマイモを売り物にした最近の菓子類とは格が違う」そうだ。ただ、城下町・川越の菓子は総じて旨い。