読売連載「石原一子」終わる

   楽しみに読んできた読売新聞「時代の証言者―女性重役・石原一子」が本日、最終回を迎えた。書き出しは、「石原一子を一言でいえば女の欲張り」と評した人がいます」だ。この永峰好美編集委員による連載(23回)は、一日のスタートに力とユーモアを与えてくれた。石原氏はご存知の通り高島屋常務取締役。東証一部上場企業初の女性重役、経済同友会初の女性会員をはじめ働く女性の先陣を切って自らの人生を突破してきた。最終回には「男性は認知症になっても相変わらず威張っているの。困ったもんだ」ともある。
 
 百貨店という極めて伝統的な経営手法が幅を利かせていた当時、石原氏は壁にぶち当たりながらも創意と行動力でブレークスルーしていった。永峰編集委員の淡々としながらもメリハリの利いた文章が読み手に深い思いを抱かせた。現場で働くものにとって、教えられることの多い連載であった。石原氏にはとかく「女性初の」という形容詞がつく。そのことよりもビジネス社会に生々しく生きた人間・石原一子の多くの挫折と成長がこれほどのキャリア形成につながったのだと思う。わが身にいま一度問いかけながら、仕事に取り組みたい。