故郷・古平の回想

   昨夜、叔父と叔母に電話で新年の挨拶をした。故郷・古平に住んでいて、83歳と75歳になった。一年ぶりに声を聞いたが、二人ともまだ十分に現役だった。母の弟と妹だ。二人には、小さいときから兄弟のように面倒を見てもらった。母の実家が隣家だったせいで、毎日のようにジジ、ババの家に行った。幼いときはほとんどジジか、ババの布団に入って寝た。あの頃、ジジとババは何歳だったのだろう!?
 
  叔父は自分が父を亡くしてからは、父の役割をしてくれた。若い頃から漁船の船頭として勝負してきた人だ。ぜったい「いいフリ、こかない(格好つけない)」。ふだんは余計なことも言わない。大学生になったら小樽に呼んで、若い頃通ったクラブで酒を飲ませてくれた。長靴だったが、店のママから勧められて堂々とダンスを踊っていた。就職のため上京する前日、港に連れて行って黙ってお金を渡してくれた。
 
 一昨年、叔父に家族の写真を見せた。「お前も家族が増えてきたなあ」と喜んでくれた。今年は叔父の息子、小生より10歳下の従弟の長女が結婚するという。毎朝山歩きをし、自転車で築港パトロールするなど相変わらず元気だから、ひ孫の顔が見られるだろう。ジジが83歳で亡くなる前に、古平に帰って自分の娘を見せに病院に行った。「カズオに良く似ているよ」とうなずき、「今生の別れだな」と述べた。
 
 こういうことは自分の娘と息子には少しずつ話している。伝わることは少ないだろうが、自分がそのように育ってきたことを二人には感じてほしいと願っている。