「江戸の恩を長崎で返す」

   今年の友人たちの年賀状に何人かが「アクティブシニア」、「元気なシニア」という言葉を使っていた。われわれ団塊の世代の特徴は人数が多い、情報感度が高い、学歴が高いなどだ。1947(昭和22)年から49(同24)年に生まれた700万人のことだ。団塊世代はこれまでの高齢者のイメージとは違い、活動的で独特の消費傾向をもっている。実際、これまでもさまざまなブームやヒット商品のけん引役を果たしてきた。この世代に今後の期待が大きいようだ。
 
 電通が昨年4月にまとめたシニア層のインターネット利用調査では、何らかの形でネットを利用している人は70歳代で23%だが、60歳代になると57%に跳ね上がる。IMJモバイルの調査では、パソコンでネットに接する頻度が「1日2回以上」と答えた人の比率は60~80歳代が77%で、20~30歳代(65%)や40~50歳代(73%)を上回る。定年退職などで自由時間が増え、若者に負けず劣らずネットを楽しむシニアは確実に増えている。
 
 しかし、IMJ調査のうち、携帯電話(スマホ除く)でネットに接する頻度をみると、「1日2回以上」は20~30歳代が34%で最も高く、60~80歳代は11%だ。60~80歳代では「接続しない」という人が39%で最も多く、「1週間に1回未満」が21%で続く。6割はほとんど利用していない。視力が衰えたり指先の感覚が鈍くなりがちな高齢者にとって、携帯電話でのネット閲覧やメール操作はパソコンよりハードルが高いようだ。今後、パソコン突破が一つのカギになるだろう。
 
 さて、「アクティブシニア」のことだが、今朝の読売で曽野綾子氏が「江戸の恩を長崎で返す」、「受けるよりも与えるほうが幸いである」との考え方を提言していた。団塊世代はこれまで競争はしても社会的共有という姿勢はあまり考えてこなかった。巳年の今年は「脱皮による新生」がキーワードになる。われわれが「真のアクティブシニア」になるには、まず地域や仲間など「身の回りの社会」との共有が求められているように感じる。