アルジェリアからの連想

   アルジェリアイナメナス16日朝、天然ガス関連施設がイスラム武装勢力に襲撃され、日本人を含む複数の外国人が拘束されている。イナメナスアルジェリア南東部にあり、リビア国境に近い所だ。早期に安全な釈放を望む。アルジェリアは昔から地政学的にも石油関連でも混沌とした地域であり、内戦状態が続いた時期もあった。自分はその国の実情をほとんど知らない。昨夜、何人かの中東専門家の解説を聞いていたが、まだ分からない。
 
 昔、大手土木建設会社から中途採用で入社したA氏が宴席でいつも「カスバの女」を歌った。自己主張の強い男で、かつ理屈っぽかったので、まったくソリが合わなかった。すこし年上だったが、小生のグループにも一時いた。急に姿を消して退社した。しばらくして封筒が盛り上がった彼からの手紙が自宅に届いた。さっと読んだら「君は人間として未熟だ。年上の自分の気持ちを踏みにじった」と執拗に書き綴っていた。手紙は焼いた。
 
 それ以来、「カスバの女」を聞くたびに苦い唾を飲んだ。若いときの話だ。「ここは地の果て アルジェリア」。エト邦枝(くにえだ)が昭和30年に歌った。その後、沢たまき、緑川アコ、ちあきなおみなどがカバーしてヒットした。
作詞:大高ひさお 作曲:久我山明 歌手:エト邦枝
 ♪涙じゃないのよ 浮気な雨に
 ちょっぴりこの頬 濡らしただけさ
 ここは地の果て アルジェリア
 どうせカスバの 夜に咲く
 酒場の女の うす情け
 
 自分が聞いていたのは緑川アコの「カスバの女」だった。哀愁漂う歌謡曲そのものだが、遠い異国の不安定な政情に翻弄される人生が映し出されている。「外人部隊」という言葉も入っていたなぁ―。今はもうカラオケでも歌う人がいないだろうか?? この地域は国境があってもないような、そんな危険地域なのだ。団塊の世代でもこれらの地域に若い頃に派遣された技術者はまわりにも何人かいる。いずれにしても事件の早期無事解決を願うだけだ。