「暖気」

 このところ気象情報で「暖気」という言葉が繰り返し出てくる。昨日の台風並みの強風も「暖気がいつもより強いため」と解説されていた。例年になく寒気の厳しい冬をようやく潜り抜けたと思ったら、今度は異常に強い暖気が到来しているという。桜も急に満開になりそうで、上野公園「桜まつり」の準備が間に合わないとニュースが報じていた。このペースでは「葉桜まつりになりそうだ」と関係者が嘆いていた。
 
 かつて母がたまに「ダンキだね」と言った。北国で少し生暖かい気候の日にそう話した。そのダンキが「暖気」だったと昨日、気がついた。寒気と暖気、考えてみればその通りなのだ。子どものころに気がつかなかったことが、突然分かることがある。まったく個人的なことだが、耳に残っている、あるいは記憶の中にある言葉が、突然、形をもって意識の水面に浮き上がってくることがある。母の声が聞こえたように感じた。