「高齢〈青年たち〉の勉強会」

   昨日午後、二ヶ月に一回開かれているU先生宅での研究会に久しぶりに出席できた。参加者は大学教授OB、経済官庁OB、会社経営者、彫刻家、元カメラマン、環境問題専門家、幼稚園長など多岐にわたる。昨日の参加者は13名で、小生がもっとも年少だ。皆さん、各界「長老」クラスであるが、その頭脳はまだまだ若い。小生は「大学院」に行っているつもりで、それぞれの立場からの議論を拝聴した。発想の起点と専門的な説明はきわめて新鮮である。
 
 最初は元カメラマンS氏によるレクチャー「本物のレオナルド・ダ・ビンチとは何か」。NHKスペシャル「よみがえる最後の晩餐」、ETVカルチャースペシャル「最後の晩餐ニューヨークをゆく」で報じられたこの絵の謎の解明を、S氏が自分の資料と写真を収めたスクラップブックを回覧しながら検証した。要は、これまで修復され続けてきたこの絵の現在の形と色彩はCG(コンピューター・グラフィックス)によるところが大きいとの結論だった。
 
 その後は、田坂広志著「目に見えない資本主義」の概要を経済官僚だったN氏が解説したあと、これをたたき台にして議論が始まった。現状を打開する新たなパラダイム転換の方向について、さまざまな見解が披露された。社会における「新しい価値」という課題でもあった。「グローバル経済の進展」と「日本的経営の真の価値」をめぐる議論は、たいへん興味深いものだった。田坂氏の方向づけは有意義だが、具体化が求められているとの点で一致した。
 
 5月に開かれる「国展」に出展している彫刻家S氏が招待券を参加者に回した。雰囲気は「長く生きてきた〈青年たち〉の元気な勉強会」である。発言に一人ひとりの生き様が色濃く反映される。そのことが、自分にとっては最大の収穫になる。今後も続けて参加していく。すでに4時間が過ぎていた。