「あまちゃん」の決意

 「あまちゃん」が自分で海に飛び込んで、「わたし海女になる」と決意した。祖母の宮本信子、母親の小泉今日子、駅長の杉本哲太などに守られて、「甘ちゃん」が「海女ちゃん」に変わっていくのが楽しみだ。前の「愛と純」はうるさすぎるので、早々に観るのを止めた。「あまちゃん」は「梅ちゃん先生」に匹敵する視聴率を上げていくと思う。
 
 「あまちゃん」は先日、祖母に背中を押されて海に落とされた。それを見ていて、子どもの頃を思い出した。夏になると家から100メートルほどの前浜に、ほとんど毎日行った。岸から10メートル余のところに小さな岩が出ている。近所の年上の誰かが自分をその岩に連れて行った。そして、岩にしがみついた自分を残したまま、岸に戻ってしまった。
 
 自分はまだ泳げなかったから、たぶん入学前だ。前浜にいた数人の連中が突然どこかに行ってしまった。待っていたが、だれも来ない。短気を起こして、岩から手を離して岸をめざした。溺れた。鼻と口からしょっぱくて苦い海の水がガボガボ入ってきた。無我夢中で手足を動かした。ダメだ、と思ったら底に足が着いた。それで泳げるようになった。
 
 イジメだったか、どこかで隠れて見ていたのかは知らない。自分の息子にも似たような方法で泳げるようにした。息子はそのことをずうっとよく思っていなかった。大人になってから、笑ってそのときのことを話し合えるようになった。息子は自分の息子を生まれてまもなくスイミングに通わせた。「海水を飲んで溺れさせなければ―」とは言わなかった。