ハナミズキ=ドッグウッド

【米国で最も偉大な大統領は風采の上がらないおじさんだった。ユーモアのセンスは光っていた。政敵が「あなたは二つの顔を持っている」と攻めると、「もし私にもう一つの顔があるなら、今の顔のままでいると思うか?」と切り返したという。「後年、マーク・トウェーンがリンカーンの胸中を言い当てているようだ。ユーモアの源泉は喜びではなく、悲しみにある。天国にユーモアはない」】
 
今朝の読売「編集手帳」が近く公開される映画「リンカーン」を取り上げている。各紙誌での前評判も高く、ぜひ観たい映画だ。子どものころのお奨め伝記で「リンカーン」はいつの時代もトップクラスだった。あの「人民の…、」のフレーズ。
 
25年前に米国南部を訪れた。ミシシッピ州で州議会場を訪問して当時の知事とお会いしたが、その帰りに南北戦争当時に野戦病院として使われた建物を見学した。壁には血で染まった文字があちこちに書かれていた。「God is Hospital」と大きく染み付いていた。もちろん南部の兵士が書いたものだった。
 
我々一行を取材するため、地元紙記者が来た。広報担当を兼ねていたことから自分まで取材されてしまった。翌朝の新聞に「ミシシッピ川を見ることができてうれしい。マーク・トウェーンの作品が好きだ」とのコメントになっていた。その辺り一帯はとてつもなく広く、田舎だった。その川は荒々しかった。
 
超特大バスで移動するときに、広い道の両脇にハナミズキが満開で風に揺れていた。隣に座っていた黒人女性に聞いたら「ドッグウッド」と答えた。昨夜、映画「ハナミズキ」を観た。海岸の灯台と一本のハナミズキの木がシンボルだった。ハナミズキが紅葉することを知った。かつて駅前のシネコンで家人が「ハナミズキ」を、小生は「悪人」を観た。両方とも「灯台」が重要な役割を果たしていた。