「よさこい節」と「YOSAKOIソーラン祭り」

   「南国土佐を 後にして 都に来てから 幾歳(いくとせ)ぞ」―これを見て、図らずも故郷(北海道古平町)を思い、涙が出そうになった。今朝の読売日曜版「名言巡礼」に、「出征兵の望郷歌 後世に」とある。かつて中国に出征していた高知県出身者を中心とする鯨部隊で自然発生的に歌われ、広がっていったという。
 
 1959年にペギー葉山さんが歌い、100万枚を超える大ヒットになった。まだ子どもだった自分の耳に、繰り返しこの歌が刷り込まれていった。10歳上の叔母がいつも聞いていたのかもしれない。「はりまや橋で 坊さんかんざし買うを見た」のくだりは、幼い胸を妖しくゆるがせたような・・・。
 
 桂浜の坂本龍馬像も見たくて、高知に行く日を楽しみにしていた。30代になって仕事で出張が決まり、カメラマンと羽田まで行った。が、台風のため、ついに欠航になった。払い戻しを受け取り、がっかりして会社に帰った。その数年後に再度高知行きの仕事が入って志願したが、結局その仕事は高知から人が来た。
 
 まだ、高知には行っていない。赤坂の会社にいた頃、ときどき「土佐料理・ 祢保希(ねぼけ)」の前を通った。二回ほど上司に連れて行かれ、名物「皿鉢(さわち)料理」で酒を飲んだ。「土佐鶴」、「司牡丹」、「酔鯨」など銘酒が揃っていた。男女ともによく飲む県民性は有名だ。ただ、中村市出身の元同僚は下戸だった。
 
 「都に来てから幾歳ぞ」で望郷の念。「思い出します 故郷の友が 門出に歌った よさこい節を」。ふるびらの風景と、父や母、幼き日の友人の姿が重なる。「よさこい節」と故郷の「ソーラン節」を組み合わせた「YOSAKOIソーラン祭り」が6月5日(水)~9日(日)開催。新緑の札幌を舞台に踊り子たちがエネルギッシュに演舞する。