新沼謙治「ふるさとは今もかわらず」

   新沼謙治が「ふるさとは今もかわらず」を歌っている。先日、NHK番組で彼の母校である岩手県大船渡市立第一中学校の生徒たちと一緒に歌っていた。精錬で、のびやかな言葉と旋律が心地よかった。大震災と津波による被害を乗り越えていこうとする静かな力を湧かせてくれるような曲だった。新沼の作詩・作曲だという。
彼自身も奥さんに先立たれるなど試練を経てきた。
 
 昨夜のNHK「歌謡コンサート」に出演したので、聴いていた(新沼謙治)。やはり心に沁みてくるものがあった。あの唱歌「ふるさと」の新しいバージョンにも聞こえ、思い出の風景と懐かしい人たちを歌い上げている。やはり子どもたちの合唱団が一緒に歌っていた。さとう宗幸が歌った「青葉城恋歌」に重なるイメージもあるが、未来に向かう力強さを広げてくれる。
 
 新宿歌舞伎町、職安通りに「あきこの店」というスナックがある。若い頃からときどき顔を出して、30年ほどにもなった。今年になって8年ぶりにマスターの「洋ちゃん」を訪ねた。彼も大船渡出身で、その街をかぎりなく愛している一人だ。新沼謙治の少し先輩だ。これまでカウンター越しに様々な話をしてきた。今は亡き友人S氏と三人で朝まで歌い続けた夜もあった。
 
 今度、店に行ったらお客さんみんなで、洋ちゃんの「ふるさとは今もかわらず」を聴きたい。洋ちゃんは歌が上手くて、人情味にあふれていて、客に愛される。みんなそれぞれいい年になったが、気持ちは若いつもりだ。おぉそうだ、忘れるところだった!! 新沼謙治が「ふるさとは今もかわらず」を暮れのNHK紅白で歌うだろう。昨夜、そう確信した。