墨象美術家・篠田桃紅、100歳現役!!

 昨夜のテレビ東京WBS・スミスの本棚」に美術家・篠田桃紅さんが登場した。100歳だという。仙人ならぬ仙女の様相の中に、凛とした芸術家独特の張り詰めた精神がいまだ刺々しく現れていた。担当の森本智子アナが「たくさん叱られました」とコメントして、スタジオもテレビを観ている我々も和んだ。選んだ一冊は、芥川龍之介「朱儒の言葉」。
 
 1971年4月1日に入社したとき、先輩社員から国際ピーアール(東京)「会社案内」を渡された。表紙は薄いバイオレットの下地に墨で「IPR」とやや崩れた文字で書いてあった。先輩が誇るように言った。「かの篠田桃紅先生にお願いした」。自分は篠田桃紅が何者かも知らなかったが、その文字にとてつもない広がりを感じた。自由な社風を象徴していた(!?)。
 
 その後、篠田桃紅さんの作品を何回か見る機会があったが、自在に伸びる線の美しさに目を奪われた。昨夜のインタビューでも彼女はこう発言していた。「書道では川の字は線を三本以上書いてはいけない。お手本どおりに書くことは私の性格上、面白くなかった。もっと線を引きたい。線で今までこの世になかった美しい形を作りたかった」。
 
 篠田さんは「それが私の性格です」と断言した。芥川の「朱儒の言葉」に『運命は性格の中にある』との一説がある。篠田さんは「常識の枠にとらわれない芥川に共感」してきた。彼女の形式にとらわれない性格が、独自の芸術「水墨の抽象画=墨象」を生み出す運命をつむいだと語った。「運命は自分でつくっていくしかないのです」と結んだ。