「半沢直樹」と内部告発

   「半沢直樹」が社会現象になった。我が家でも家人まで真剣に見始めるし、息子は先日番組途中で帰宅して「今から観たくない、聞きたくない。ビデオで撮っているから」。二人で世界陸上で番組が休みになったことを残念がっていた。
 
 小生はこのドラマの一回目から観てきた。7月29日のブログではこう書いた。
 
TBS「半沢直樹」(第3話)を観る。TBSの猛宣伝で「やられたらやりかえす。倍返しだ!」が流行語になっている。直木賞作家・池井戸潤原作の企業ドラマ。NHKドラマ「七つの会議」も池井戸氏の原作。堺雅人東山紀之がそれぞれ会社トラブルに巻き込まれ、対照的な人物像を演じている。舞台が大阪と東京の違いもある】
 
8月12日は「堺雅人の演技力」を書いた。「半沢直樹」も「七つの会議」も企業の不祥事に対して内部告発する点がドラマ展開の大きな要素になっていた。「会社の隠し事」をマスコミにリークして、次々と暴いていく。この小気味良さが「時代劇的」(池戸井氏)なのだ。
 
こうした「企業の悪行」がマスコミにリークされる傾向は凄まじいほど増しているという。そのような時代背景がある。最近のドラマではまだ新聞、週刊誌、またはテレビ媒体という「旧メディア」への露出が中心で、「朝毎新聞」とか「週刊○○」が仰々しくドラマ画面に登場している。
 
 これら媒体に加えて、WEB上で企業の内部告発が多発する現象はもう押さえ切れなくなるだろう。「基本的には告発者は保護される」風潮だ。匿名性と軽いノリ・イタズラに便乗した告発が、社会混乱を誘引していく。「モグラ叩き」では間に合わない。とんでもない時代に突入した。格差の「倍返し怨念」が人間社会・生活を破壊していく。