「半沢直樹」が受ける理由

   今朝の「週刊現代」の新聞広告に、「『半沢直樹』でTBSがフジに倍返しだ/テレビ視聴率戦争異常あり」、「いるいる!香川照之みたいなやり手常務」、「『あまちゃん』、『半沢直樹』脇役が面白すぎる」との文字が踊っている。現実の社会現象より少し遅いが、読者の共感を呼んで買ってもらおう。そんな意図が透けている。
 
 「半沢直樹」の登場人物のキャラ立ち(個性のブランド化)が目立つ。主役の堺雅人にしてもその点での演技力は満点で文句のつけようがない。黒崎・国税局統括官役の市川愛之助、悪徳常務役の香川照之(市川中車)が歌舞伎顔で演技を見せて、カメラがアップで映す。倍賞美津子のホテル専務役も強烈なキャラだ。
 
 昔、ある週刊誌の編集長と懇談していた時に、「ネタ枯れのときには、銀行と腰痛の話題を特集する」と語っていたのを思い出した。これらのテーマを取り上げれば、ほぼ確実に一定の部数が見込めるのだという。腰痛はなんとなく分かりそうだが、「なぜ、銀行をやれば週刊誌が売れるのか?」と率直に質問した。答はこうだった。
 
「まず、銀行員は業界の動きに驚くほど敏感なので、『銀行』という見出しだけで目を通しておこうと買ってくれる。自行の話題はもちろん他行のスキャンダルなども必ず読んでいるビジネス種族なのだ。金融関係者の数は全国的にものすごく多い。企業関係者だって一応目を通しておこうと思う。どんどん輪が広がる」
 
 「なるほど!!」、とうなずいたのを思い出した。ましてや、「半沢直樹」はシンプルな勧善懲悪ブームに乗った「痛快時代劇」である。顔の演技が歌舞伎のようにディフォルメ(誇張)されて大写しされる。劇画的な分かりやすさがさらに増幅される。この番組スポンサーは花王サントリー東芝日本生命のCM超大手企業四社だ。