「東京五輪狂騒曲―野暮はヤだね」

昨日から「東京五輪」の文字がこの国に溢れている。「勝ち取った」招致委員会の凱旋帰国に、成田では300人が出迎えた。その後、都庁前広場で行われた報告会には約6000人が駆けつけた。朝日も読売もそう書いてある。テレビ画面では詰めかける聴衆をアップで撮ったり、群集を上から写していた。
 
いやはや「東京五輪狂騒曲」が大スピーカーを通して、全国中に大音響で広がっていく。テレビでは「アラサー」、「アラフォー」世代の女性グループが「これで五輪が来ると実感した」とか思いっきり崩した笑顔でコメントしていた。この人たち、昼間から何やってんだ?! と思わないでもない。
 
小生はヘソ曲がりではないが、大イベントがあるたびに付和雷同で集結して騒ぎ立てるほどのヒマ元気などすでにない。画面で上から撮った都庁前広場の群集を見ていたら、過去から現在までのさまざまな特殊国家の群集に見えてきた。声高にアナウンスするマスコミの扇動(??)が喧(やかま)し過ぎる。
 
CM天気図-天野祐吉」(朝日/今日付)から。「作家の山口瞳さんがサントリー宣伝部にいた年、前の東京オリンピックがあった。観光客であふれる東京。そんなとき、山口さんはトリスウイスキーのこんな新聞広告を書いている。『みんな、東京に集まる/オレ、旅に出る/テレビで観る/トリス飲む』」。
 
「そこにあるのは、オリンピックブームに背は向けてもオリンピックはちゃんと見てるぜという男の姿だ。粋だねぇ」。このコラム、「野暮はヤだね」のタイトルだ。