「和食=難しいイメージ」?!

   NHK朝ドラ「ごちそうさん」―今朝の場面でも、家族そろって食事をすることの大切さを強調した。このドラマは初めから、そこに価値を置いている。舞台が大阪の旧家であるのも布石なのだ。関西では日々の生活に伝統的な食文化がいまだ根付いている。「和食」がユネスコ無形文化遺産に決まったが、東京ではピンとこない。
 
 関西では季節の行事には決まりものをいただく。「天神さんには鱧を食べる」とのしきたりがセリフで繰り返された。何も文句はないし、「和食」が世界公認になるのも素晴らしいことだ。しかし、現代日本の食の姿とあまりにもかけ離れているのも事実だ。この「和食」推奨運動は、京懐石の料理人たちが中心になって輪を広げた。
 
 テレビ・ニュースで若い女性たちは、「和食=難しいイメージ」と述べた。「一汁三菜」の意味を分かった人はごく少数だった。驚いたのは、ご飯茶碗と味噌汁お椀の位置を左右反対に並べた人がいたことだ。これは親が教えなくては。とにかく、ご飯と味噌汁と魚と野菜を一回でも多く食べるようにしよう・・・!!
 
家族そろって食事することが現代生活では難しい。仕事時間の多様化や、子どもたちのスケジュール過密化、食の好みの変化が著しい。すでにパン食がご飯を席巻した。日常の食べ物のほとんどが「洋食」系だ。日本人の味覚が変わりつつある。味付けが濃くて、刺激的な食べ物にしか反応しなくなってきた。
 
先日、青山の女性誌関係者と話していたら、「お昼には魚と野菜を摂るために、和食を食べる」と述べていた。それが実態だろう。「和食を」と改めて言われると、小生も調理意欲が萎縮する。ふつうにご飯を炊き、味噌汁を作り、魚を焼き、漬けものを切る。そう、「ごちそうさん」のナレーターは糠床(ぬかどこ)の吉行和子だ。