「ニシン・白子の煮付け」

 昨日の夕食に「生ニシンの煮付け」をつくった。解凍したニシンから大きな一対の白子を出してから、身を四等分した。皮には味が滲み込むように一本の筋を入れた。カップ一杯強の水に醤油、酒、ショウガの皮少しを入れて沸騰させてから、ニシンと白子を入れた。上にクッキングシートをかぶせて、落し蓋の代わりにした。
 
 魚の生臭さが消えて煮えた匂いが出てきたら、弱火にしてさらに少し煮込んだ。予想以上にふっくらとできあがった。白子もいい具合に煮えている。新鮮なのでプリプリしている。この上等な白子は自分だけが食べる。ニシンの身を箸で分け、口に入れたらかすかな甘みがした。新鮮な青魚だけがもつ極上の味だ。
 
 かつて最盛期には、ニシンの身は「猫またぎ」と言われた。一部が身欠きニシンに加工されたが、多くが肥料になった。故郷・北海道古平(ふるびら)町の町史編纂室の写真資料を見ると、当時のニシン漁がいかに多くの人力に頼ったかが分かる。春を迎える前にヤン衆たちが戻ってきて、人口は倍近くにも膨らんだという。
 
 昨夜寝る前に、古平の丸山岬と隣町・積丹町の宝島の写真を町のホームページで見た。昔、この時期に春告魚・ニシン豊漁で沸いた漁場だ。厳しい気候の中にも、確実に春は歩を進めていることを信じたい。北国の人たちは「春到来」を忍耐の中で待っている。あと少しで待望の3月が始まる。