郷愁

 赤カレイの煮付けを久しぶりに食べた。40センチほどのものを三等分して味付けした。子どものころおかずに母が作ってくれた日常食材だった。上品な白身で味はカレイ類の中でも上等だ。入っている卵がまた旨い。スーパーでは切り身で、値段もそこそこする。やはり北海道・積丹半島沖の魚は新鮮で、身が締まっている。
 
 副菜にイカゲソとジャガイモ、たまねぎを炒めてマヨネーズ醤油で絡めた。炒める時に焼肉用にんにくダレを少し加えたら、味が引き締まった。これも食欲を刺激する一品だ。イカやタコとジャガイモの組み合わせは、ゴールデンコンビだ。これにタラコをまぶしたら、さらにご飯がすすむ。現在の自分には贅沢惣菜の一品だ。
 
テレビで松前町の郷土料理だと茹でたジャガイモを冷ましてすり鉢でこねて餅状にした。これを見て、祖母がおやつに「いも餅」を作ってくれたことを思い出した。祖母がすりこぎ棒を回すとき、子どもの自分はすり鉢が動かないように端をつかんで固定した。出来上がると、祖母はお湯に砂糖を溶かしくれ、それにつけて食べた。
 
そんな郷愁に思いをはせていたが、一昨日発表された2015年公示地価の朝日記事がうっとうしさを残していた。地価変動率の下落率が大きかった地点の一つに「北海道古平町御崎町 -9.7% たらこ加工業者の大量倒産」とあった。自分が嘆いても何も変わらないが、そんな記事見たくなかった。故郷は何があっても故郷だ。