「ゴッコ汁、食いたい!!」

「ゴッコの季節だね、ごっこ汁食べたいから手に入れて送って」。北海道積丹町の妹に電話で頼んだ。ゴッコの正式名称は布袋魚。1月下旬頃、この深海魚は産卵のため沿岸に寄ってくる。腹には巨大な卵が入っていて、それも身と一緒に食べる。コラーゲンの塊で、翌日は肌がプルプルする。昆布出汁にゴッコと豆腐、長ネギを入れ、醤油で味付けする。
 
最近は道南地方の漁協などでネット販売している。鮟鱇よりも淡白で上品な鍋になる。妹に下ごしらえして送ってくれるように伝えた。一冬に少なくても一回は食べたい郷里の珍味だ。新鮮なうちに調理して、冷凍便で送ってもらう。足が早いというか、すぐに鮮度が落ちるので、あまり一般的な食材ではなかった。近頃のグルメブームで、やや注目へ。
 
身を食べ終わったら、残った汁にご飯を入れて溶き卵を落としてのオジヤもいける。締めとしては第一級だ。これまで数人の友人たちと食べたが、その味に感激する人とそうでもない人にはっきり分かれる。全体的に淡白なので、そんな結果になるのだと思う。腰の曲がった爺さんがゴッコを縄につけて雪の上を引っ張って通り過ぎる、幼い日の残像。