SMAPは「夜空の向こう」へ

 「SMAP」を初めて耳にしたのは1991年1月1日だった。友人のTくん親子と浦安のIさん宅に年賀の挨拶に向う途中、地下鉄・東西線に乗り換える九段下駅に若者たちが溢れていた。「なんだこれは?!」と言ったら、Tくんのお嬢さんが「きょうSMAPのコンサートが武道館である。人気があるんですよ」と教えてくれた。まだCDデビュー前のことだった。
 
 1989年2月に会社を立ち上げたので、同じ時代を走ってきた。かれらの活躍はいうまでもなく、今年のマスコミで大きく報じられてきた。スマロスをいわれながら解散するのも秒読みに入った。10代半ばだった少年たちはいま大人になってその束縛をかなり解かれようとしている。ファンのいつまでも解散しないでとの心からの叫びが分かる。
 
 バブル崩壊がこの1991年に本格的になり、そのご20数年にわたって日本経済は大低迷をつづけた。そのために社会の構造、価値観などが現実主義になり、ファンの若者たちも凄まじい生存競争に巻き込まれていった。社会の成熟化にともなう離婚の増加なども加速された。この経済社会低迷期の被害を受けながら大きくなったのがこれらの世代だ。
 
 SMAPの好きな曲はと聞かれたら「夜空の向こう」だろうか。この時代の若者の心情が透かし絵のように歌われ、いつ聞いても「いいなぁ!」と感じる。この歌詩にも曲にも時代が反映している。静かで穏やかに謙遜して聴き手を励ましている。SMAPの何曲かはこれからもときどき聴くだろう。いや、Youtubeカラオケで練習でもするか。