イカの旨みは半日後

 「イカやサンマなどが獲れはじめた」とTVが伝えていた。鮭を加えれば食卓が秋味で豊かになる。いまの若者は魚を食べないらしい。日本人の味覚が大きく変化したからだ。イタリアンや焼肉に慣れ切った舌に、魚の上品な旨味は不感だろう。
 昨夜のおかずは餃子とニシンの煮付け。弟が送ってくれた生イカと一夜干しが待っている。猛暑再来にはとくかく食べて対抗する。「15歳前後に食べた料理が自分の体の基になっている」といわれる。あの頃は今に比べて食材は少なかった。
 イカの甘味は獲って半日後ぐらいがピーク。獲れたてはコリコリで味は未完成なのだ。そんなことを思い出しながら父が昔使っていた手作りの仕掛けを再現してみようと少し思った。イカは賢いのでそう簡単には「引っかからない」だろうけど。
 トリビア/ イカは漁火など強い明かりに寄ってくる、これはまちがい。実は暗いところを好む。漁火で海面全体を明るく照らして、船底に影をつくりだしている。この船の真下の影にイカを集めていく。左右は強く照らし、前後は通り道だという。