「来年、年男ですよ」

 「次の予約は二ヵ月後の12月21日です」。2ヵ月に一度診てもらう外来でそう告げられた。予約票を見ながら「もろ年末じゃん」とつぶやいた。一日は長いけど一年は短い。今回は「とくに変化なしです」との診断で、一息吐いた。
 
 看護師さんが「来年の干支はイノシシ、年男ですよ」と声をかけてくれた。そうか、年男か、72歳になる。驚いた。昔故郷の72歳の爺さんたちは人数も少なく、印象がヨボヨボだった。健康寿命の同期生はまだ活き活きと動きまわっている。
 
 リハビリ先生が「来年になれば30代に突入です。平成元年生まれですから」と言った。「年号が変わりますね」とも。いまお世話になっている病院・リハビリ関係スタッフはほぼ30歳前後だ。いつも彼らの仕事ぶりと少しの会話が楽しみだ。
 
 朝刊に「未来の出来事を知ろうと思えば、過去に目を向ける」(マキャベリ)とある。昭和、平成から次の時代に移行する。世の盛衰を経てきた世代に、年明けはどんな展開が待つのか。複数の猪が牙を剝(む)き縺(もつ)れ合って突進する。