「朋遠方より来たる」

 「近く余市高校の同級生・札幌のKくんが坂戸まで会いに来てくれる」。きのう看護師さんにそう話したら、「本当ですか、まだ仲良しなんですか。そんなに長く」と驚かれた。「仲間だから」と返答した。

 

 高校時代の同級生との交流話をするたびに、相手は信じられないような顔つきをする。卒業後50年間も連絡を取り合うクラスはあまりないようだ。それも7割方のメンバーが結束するとは。結束は固い。

 

  その絆の核はA先生だ。誰しも自分が一番先生に迷惑をかけたと言い張り、自慢する。言葉数は多くないが、生徒のためにやるべきことは全力でやってくれた。とくにクラスの悪ガキどもはそう感じた。

 

 卒業後に新橋の会社まで訪ねてくれて駅近くの焼き鳥屋で飲んだとき、改めて先生の奥深さに気づいた。生徒一人ひとりの歩みを細かくチェックしていた。その成長を喜び、静かに微笑んでいた。

 

 そんな話でもしながらKくんと食事をするだろう。17歳の出来事が彼の優れた感性であざやかに甦るだろう。短い時間だが青春の話は尽きまい。「朋遠方より来たる。また楽しからずや」。A先生の漢文の授業。