カスベ(エイ)の煮付け

昨日は夕飯のおかずに「カスベの煮付け」をつくった。先月初めに北海道積丹町の妹が送ってくれたもので、冷凍室に取っておいた。カスベとはエイのことだ。去年も送ってくれたが、すぐ食べてしまったので久しぶりだ。妹がすでに捌(さば)いてあり、大き目のブロック状態になっている。電子レンジで解凍して、出刃包丁でほぼ三等分に切った。肉に厚みがあるのでおかずとしては十分過ぎる。
 
鍋にあらかじめ出汁を入れ、料理酒をたっぷり加えて沸騰させる。これに三個のカスベの身を入れて、生臭さを消すため切ったショウガを一緒に入れる。コショウも少し振っておく。これに醤油、みりんで適当に味付けして、落し蓋で20~30分ほど煮ていく。砂糖をひとつかみ加えてもよい。灰汁(アク)が出てくるので、丁寧に取り除く。昨日は落し蓋の代わりに、クッキングペーパーをかぶせて煮た。
 
予想通り身がふっくらしたカスベの煮付けのできあがりだ。太い骨は食べられないが、軟骨はコツコツと噛んで美味しく食べる。このカスベの身と軟骨はコラーゲンの固まりだ。小生はやや薄味にするが、子どものころは身が醤油の色に沁みていた。そして冬になると「煮こごり」になった。それを兄弟で取り合ったりしたものだ。昔は漁協の市場に行けば、コンクリート床の端の方にカスベがよく並んでいた。
 
このカスベは傷みやすい。腐ると独特のアンモニア臭を放つのだ。その腐りかけたカスベをカラスやカモメが狙って盛んに口ばしで突っついていた。他の魚と並べてみればその形は明らかに異なる。昔、細い目のカスベの化け物の本を読んだように思う。テレビの怪獣番組だったかもしれない。それほど形はグロテスクなのだが、その肉は白身で上品な味がする。このカスベのヒレを乾燥させたのが「エイヒレ」で、酒のあてとしては第一級の珍味なのだ。