「サーモン人気」の背景
朝日・生活面の「食文化変えた養殖サケ」という記事を興味深く読んだ。「いまや回転ずしの人気のネタとなり、スーパーでは年中、生の切り身が手に入る。そのもとは、1万7千キロ離れた地球の反対側からやってきている」と書いている。南米チリの南端に近いチエロ島には養殖サケの基地があり、現地資本、外資合わせて約60社の養殖会社がある。日本水産やノルウェー大手の加工工場などだ。
回転ずしではいま、「一にサーモン、二にサーモン、〆もサーモン」と言われるほど女性と子どもに圧倒的な人気だ。見た目の美しさ、脂の乗りと食感の良さ、割安感が理由のようだ。記事には「生きたまま締め、刺身用などに加工、すぐに冷凍し、ほとんどを日本に運ぶ」、「日本のすし用は、丁寧に血合いなどを削ります」と加工会社の幹部が語っている。チリのサケ輸出先は日本がトップで45%、米国の18%を大きく引き離している。
「規格や品質が安定し、年中安く手に入る魅力的な商材」と、日本の大手回転ずし店や外食産業の担当者が評価している。サケ養殖を根づかせたのは日本だった。各国の養殖業者が事務所を構える州都プエルトモンは地元では「サケ養殖の都」と呼ばれているという。ところでサケの日本国内の消費量は年間約50万トンで推移。自給率は70年代に90%以上あったが、現在は約半分が養殖中心の輸入サケになっているそうだ。