スケソウダラの丸干し

   いま棒タラを叩いて、身をほぐしたのをかじりながら書いている。タラと言ってもスケソウダラの丸干しで、先日積丹からの荷物に入っていた。何十年ぶりだったので、とても懐かしい食べ物だ。子どもの頃、春先になれば屋根に上ってはこのスケソウの身をかじっていたものだ。昔はどこの家でも軒下にぶら下げていた。
 
 昨日冷蔵庫から取り出したら、どうしようもないくらい硬い。それで家の周りを探して叩く石ころを探した。なかなか見つからなかったが、花壇の隅のほうに半分埋まっているのを掘り起こして洗った。この石でスケソウダラを叩き始めた。初めは上手くいかなかったが、次第にコツが蘇ってきて二匹分を柔らかくした。
 
 腹のところから開いて、身を取り始めた。二匹分なので結構な分量になった。それを大事にパックに入れて、料理酒と醤油を少し混ぜてふりかけておいた。昔は、味の素を振ってから醤油をかけてまた閉じておいた。小一時間もすれば身は香ばしくなって、テレビを見るときに齧りながら食べるおやつに最適だった。
 
 石を魚に振り下ろすとき、一瞬、幼い頃の幻影がフラッシュした。いまは中国・大連にいる幼馴染のTちゃんとスケソウダラを持ってよく浜に行った。Tちゃん、覚えていますか? 札幌も昨日は33度あったそうです。この時期から二人でいつも崎(さき)の2番岩に泳ぎに行ってウニを獲ったね。二人とも日に焼けて真っ黒だったね。