落葉キノコと「落陽」

 「落葉(キノコ)佃煮」とメモした袋が入ってた。初めてもらった。積丹・美国の義弟と妹はブリ、サケのなど旬魚の荷物に、落葉キノコまで入れてくれた。味噌汁用も別袋になっていた。

 

 落葉佃煮は食べたことない。「どうやってつくったの?」と聞いたら、「なん~も、茹でた落葉を醤油、酒、味醂、すり生姜で和えただけ」。義弟の酒のつまみだそうだ。味付は各家庭で異なるらしい。

 

 荷物を開けたら上に、一枚の絵ハガキ。北海道・積丹半島神威岬の落陽。シャコタンブルーの海面が空の朱色に染められている。半島の先の断崖から岩礁が点々と海中に吸い込まれていく。

 

 おっ、絵ハガキ、「シャレたな!?」、落葉と落葉を掛けたな。たぶん妹は送るときにほくそ笑み、いま、受け取った自分が微笑んでいる。日本海の落陽は一刻だけ照り輝く。吉田拓郎の名曲「落陽」は太平洋。