「鰊(ニシン)、送るよ」

 

 

 北海道・積丹町から妹の弾んだ声が受話器に響いた。「父さん(夫)が鰊(ニシン)もらってきたから今日送る。積丹沖で獲れ始めた」。もう。春告魚の一番目だ。暖冬騒ぎの中、ニシンまで産卵時を急いでいるのかな。いずれにしても「OK、楽しみに待つ」。

 

 埼玉はきょう午後、二度目の降雪が予測されていて、外気がどんよりと重い感じだ。今月を乗越えれば春の予兆があちこちで見られる。少しずつ身体も軽くなって食欲も出るし気分も上がってくる。そんな風に期待している。約束済みの友人との再会が叶う。

 

 そんな気分に郷里からニシン、春告魚が飛び込んでくれた。思わず口角が上がった。シャープな青みがかった獲れたてのニシンは、身が締まっている。鱗が光っている。まもなく近くの海岸で海水を白く染めながら産卵が始まるだろう。漁師町が活気付く、うれしい。

 

 ニシン跳ね 漁師声揚げ 網を引く