「教えることは学ぶこと」(辻芳樹・辻調校長)

   今朝の朝日新聞・オピニオン「食に学ぶ」の結びの部分を数回読んだ。辻芳樹氏(辻調理師専門学校校長)の言葉だ。
 
 「料理人は高貴な職業です。本物にこだわれば、食材は高価になり、働く時間も長くなる。そんな矛盾に悩みながらも、謙虚に本物を探求し続けるからです。この高い目標を実現するため、父親の代からずっと建学の精神として『ドケンド・ディスキムス』(ラテン語で、教えることによって学ぶという意味)を掲げているのです」
 
 これを読んで、「教育」という言葉が思い浮かんだ。尊敬する歴史研究家・M先生の口癖が「教と育の間に返り点を入れる。教育は教えて育てるだが、教えられて育つでもある」。この双方向のベクトルが働かないと、その師弟関係は深まらないし、長続きしない。そうも言われた。己の限界を知り、自惚れて「教え屋」になってはいけないという意味だ。
 
 辻氏に自分の痛いところをナイフで突かれたようで、そんなことを思い出した。「生涯学ぶ姿勢を貫きなさい」(辻氏)。誰かも先日言ってた。「学ばない者は老いる」。料理人の長(おさ)は人の心まで見透しているようだ!?